ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

判断力批判

【第2回】「定言命法」と「3つの格率」【カント道徳哲学】

理性の構成: カント実践哲学の探究 (叢書・ウニベルシタス) 作者:オニール,オノラ 法政大学出版局 Amazon 前回の記事で、『判断力批判』に即して「3つの格率」を検討した。『判断力批判』の「3つの格率」とは、以下の「格率」である。 ①偏見に囚われない考え…

【第1回】「定言命法」と「3つの格率」【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 前回の記事「ボランティア活動の倫理学」では、筆者は「定言命法」に関する解釈を提示した。以下がその内容である。 「定言命法」でのポイントは、「格率」が自己矛盾を犯さないかどうかという「…

【カント道徳哲学】カント「趣味判断」2つの観点|反省的判断力と普遍的賛同の要求

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 好きな食べ物や自分が気に入っている色など、われわれはそれぞれ趣味や嗜好を持つ。それは最初から他人には分からない、あるいは分かってもらえなくてもよいと思う人もいる。 しかし、花や絵画な…

【第4回】カント道徳哲学での道徳的主体と他者との関係性について|終わりに【カント道徳哲学】

カント全集〈11〉人倫の形而上学 作者:カント 岩波書店 Amazon 4.終わりに 今回は、カントの道徳哲学の書である『基礎づけ』や『人倫の形而上学』と、『判断力批判』で語られる他者について検討した。 その結果、『基礎づけ』や『人倫の形而上学』では、道徳…

【第3回】カント道徳哲学での道徳的主体と他者との関係性について|拡張された考え方の格率【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.拡張された考え方の格率 『基礎づけ』や『人倫の形而上学』で、カントは他者よりも、道徳的主体である自己を問題にしていた、ということが分かった。 一方、『判断力批判』で、他者との関係性…

【第1回】カント道徳哲学での道徳的主体と他者との関係性について|はじめに【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに カントは、われわれの理性から普遍的な道徳法則を導き出す。この普遍的な道徳法則が、「定言命法」(Imperative Gesetz)である。カントの全体的な説明の仕方から考えると、一見、カン…

【第4回】「趣味判断」について-『判断力批判』に即して-|結びにかえて【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 4.結びにかえて 以上、「趣味判断」について検討してきたが、『判断力批判』に即して「不完全義務」についても考察する必要がある。また、今後は「趣味判断」と道徳との関わりについても検討が…

【第3回】「趣味判断」について-『判断力批判』に即して-|「共通感官」について【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.「共通感官」について 「趣味判断」には主観的な判断が必要であるため、カントは「共通感覚」という概念を導入した。『判断力批判』の文脈から考えると、「共通感覚」とは普遍的に有効な判断を…

【第1回】「趣味判断」について-『判断力批判』に即して-|はじめに【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 今回の目的は、カントの著書である『判断力批判』の中に登場する「趣味判断」(Geschmacksurteil)を検討することである。というのも、「趣味判断」には、カント道徳哲学に関して「不完…