ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【第1回】ネコの路上死|沖縄県の現状【地域猫活動】

「首を掻く猫」の写真

 

 先日、通勤中に、ネコの路上死を目撃した。目撃する度に思うのであるが、もしかしたら、落とすべきでない命を救えたはずだ、と心を痛め、自らの無力さを感じる。

 

 仕事から家に帰る途中、走ってくる車を避けながら道を横切るネコを見ると、「死ぬな」と心の中で祈る。

 

 「縄張り意識」のある彼らの習性上、道を横切ることは、やむを得ない場合もある。

この辺りを、われわれ人間は理解しなければならない。

 

 ということで、今回は「ネコの路上死」について2回に分けて記事を書く。

 

[内容]

【第1回】沖縄県の現状 

【第2回】路上死を防ぐ2つの方法

 

沖縄県の現状

 

 2016年『沖縄タイムス』に、以下のような記事が掲載された。

 

【参考:沖縄タイムス(2016年4月12日付)】

www.okinawatimes.co.jp

 

 記事によれば、沖縄本島の国道と県道で車に轢かれるなどして、死んだネコが回収された件数は、2015年度2,684件に上った。1日に約7頭が、れき死している計算である。2014年度の県内のネコの殺処分数、2,679頭と匹敵する。

 

 ちなみに、平成30年度『事業概要ー人と動物の共生をめざして』(沖縄県動物愛護管理センター)によれば、沖縄県動物愛護管理センターに収容されたネコの頭数は年々減少傾向にある。

 

 しかし、終末処分率は75%といぜんとして高い。

 

参考:平成30年度『事業概要ー人と動物の共生をめざして』(沖縄県動物愛護管理センター)】

https://www.aniwel-pref.okinawa/app/webroot/js/kcfinder/upload/files/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%A6%82%E8%A6%81_HP%E7%94%A8%E5%9C%A7%E7%B8%AE%E7%89%88.pdf

 

 記事のデータとして古さも感じる(※)が、外で生活するネコの寿命は、平均3年だと言われている。「令和元年全国犬猫飼育実態調査」によれば、飼いネコの場合、平均15歳程度である。

 

 外で生活するネコの死因1位は、「路上死」である。

 

【参考:令和元年全国犬猫飼育実態調査】

petfood.or.jp

  

 「路上死」に至る原因は、2つ考えられる。

 

 1つ目は、ネコの飼い方である。よく見かけるのは、首輪を付けているにも関わらず、飼いネコを外に出して飼うことである。これは記事にもあるような、「あいまいな飼い方」である。

 

 2つ目はネコの習性である。記事によれば、車が迫ってくると犬はよけるが、ネコはその場で固まってしまう。

 

 加えて、指摘したい点がある。それは、ネコの「縄張り意識」である。

 

 ネコは「食べる場所」や「寝る場所」が、ある程度決まっている。その「生活圏」である「縄張り」を、毎日決まった時間にパトロールする。

 

「縄張り意識」は、メスよりオスの方が強い。「食べる場所」や「寝る場所」などが道路と反対側にあると、れき死するリスクが高まる。

 

【参考:子猫のへや】

https://www.konekono-heya.com/

 

 

 以上が、ネコの路上死の実態と背景である。

 

 では、われわれはどのように痛ましい路上死を減らし、外で暮らすネコたちに具体的に配慮しなければならないのか。

 

この点は、次回に譲る。【続く】

 

(※)県内の犬猫殺処分数は、減少傾向にある。2019年度に県内で殺処分された犬猫は644匹(速報値)で過去最少になり、17年度から3年連続で県が目標にしている1,500匹を下回った。しかし、実態はボランティアなどの方々による収容所からの引き出しが、大きな要因である。www.okinawatimes.co.jp

↓その他参考文献↓