Es irrt der Mensch,solang er strebt.

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/地域猫活動/伴侶動物としてのネコとの関わり方/について記事を書いています。

【第4回】2021年の目標ー2020年を振り返りながら

 

 [今年の目標]

■質のいいブログ記事執筆

■朝活と質のいい睡眠

■『たんなる理性の限界内の宗教』読了

■『学校におけるケアの挑戦』読了

日商簿記3級受験

■FP3級受験

 

■『学校におけるケアの挑戦』読了

 

 学校で勤務していると生徒との関わりの中で、瞬時に判断を迫られることも多い。

 

 生徒指導や教科指導を行う上で判断基準になるものはないか、と思案していたところ「教育倫理学」という分野を見つけた。

 

参考:過去記事

chine-mori.hatenablog.jp

  

 2020年はカント『教育学』を中心に学習を行ったが、今年は「ケア論」を中心に学習を進めていく。

 

 その足がかりとして、ネル・ノディングス『学校におけるケアの挑戦』を読み進める。

 

 「訳者あとがき」によれば、本書でノディングスは学校教育の内容や方法を一新する提言を行っている。

 

 まとめると、以下の3点である。

  • 学校は「ケアリング」を教育の中心目的として「第2のホーム」になるべきである。
  • ケアの諸領域を教育内容とするべきである。
  • ケアするーされる者との関わりを基盤とする「ケアリング」を教育方法とするべきある。

 

 彼女の革新的な提言は、今日の学校教育を根底から問い直すことに繋がる。

 

 また学校は「○○しなさい」または「○○してはいけない」という、カント以来の規範倫理学的な傾向がある。

 

 一方、ノディングスの「ケアの哲学」は①他者の声への応答性と互恵性、②応答関係から生まれる倫理性に立脚する。

 

 この点から考えると、従来の学校的なスタンスを覆す革新的な挑戦を彼女は行っている。

 

 以下、「訳者あとがき」から、佐藤学の主張を要約する。

 人はケアしケアされることによって、責任ある人生を創造する。また愛する人、愛されるべき人に成長することによって、幸福な人生を人は創造する。社会組織はこのケアされる関係、愛し愛される関係で構成されるべきである。教育の目的も、「ケア」の認識と実践による人々の幸福実現にある。

 学校は微積分を教えているが、例えば人を愛することや老人を世話することなど人生で誰もが直面すべき事柄を教えていない。教育が人生の幸福を目的とするならば、学校教育はその目的を実現する源である「ケアリング」を中心に再構成されるべきである。(邦頁339 要約)

 

 人は将来的に、責任ある人生を創造し成長することによって幸福な人生を送ることができる。

 

 そのため社会組織としての「学校」は、「ケアリング」を中心に再構成されるべきである、と佐藤は主張する。

 

 学校は生徒だけでなく、教師の働き方やその構造自体など様々な問題を抱えているのが現状である。

 

 しかし、1人ひとりの生徒が「自分のよさや可能性を認識しあらゆる他者を価値ある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓く」ことができるようにすることこそ、本来の学校の役割である。

 

参考:高等学校学習指導要領 (平成30年告示)

高等学校学習指導要領

高等学校学習指導要領

 

 

 そうであるならば、ノディングスの「ケア論」を学習することは学校教育のあり方を見直すきっかけになる。

 

 今年は、学校教育について倫理学的に考察できる1年としたい。【続く】