過去の記事で、久米島町にある「球美にゃんこ亭」への取材を通して、久米島町の「地域猫活動」の現状について投稿した。
【参考:過去記事】
今回は、『令和元年度 事業概要』(沖縄県動物愛護管理センター)(※)を基に、沖縄県全体と久米島町の「ソト猫」の状況について2回に渡り考察する。内容としては、以下の通りである。
[内容]
【第1回】沖縄県全体の実態
【第2回】久米島町の実態
【第2回】まとめと提言
【第1回】として本記事では、平成27年度から令和元年度までの県内の「猫の収容及び措置状況」のデータを中心に、沖縄県での「ソト猫」の状況について分析する。
■沖縄県全体の実態
●沖縄県全体の猫の収容及び措置状況
平成27年度を基準に「猫の収容及び措置状況」を見ると、平成29年度に増加が見られるが、令和元年度まで全体的に「収容猫の措置頭数」の「終末処分」の割合が減少傾向にある。つまり、県で保護された猫の「殺処分」の割合は減少している。
一方、平成27年を基準に置くと、「収容猫の措置頭数」の「譲渡」の割合が平成29年に一時減少しているが増加していることがこの表から読み取れる。
上記の表を「収容猫頭数」及び「収容猫の措置頭数」に分けてグラフ化した図を基に、更に検討を進める。
●収容頭数の推移
猫の「収容頭数の推移」について「収容頭数合計」は平成27年度の2,077頭に対して、平成28年度は1,010頭と約50%減少している。また平成29年に1,254頭と増加に転じるが、令和元年度には725頭に減少している。平成27年度を基準に考えると、令和元年度は約65%も減少していることになる。
●措置頭数の推移
猫の「措置頭数の推移」について「終末処分」つまり「殺処分」が平成27年度の1,932頭に対して、平成28年度は759頭と約60%減少している。また平成29年に1,056頭と増加に転じるが、令和元年度には457頭に減少している。平成27年度を基準に考えると、令和元年度は約76%減少していることになる。
このグラフでその他注目すべきは、「譲渡」の数である。平成27年度は128頭に対して令和元年度は274頭と約2倍に増加している。
●考察
上記3つの表から、「収容猫頭数」及び「収容猫の措置頭数」の「殺処分数」は共に減少傾向にあることが読み取れた。この要因は、何だろうか。
「収容猫頭数」の減少について、考えられることは沖縄県の一般市民への取組みが功を奏している点である。
『事業概要』によれば、沖縄県動物愛護管理センターは「犬猫等の譲渡」や「動物愛護思想の普及啓発活動」を行っている。沖縄県動物愛護管理センターに問い合わせたところ、具体的調査は行っていないという回答だった。
「収容猫の措置頭数」の「殺処分」数の減少について、その明確な要因も分からない。「譲渡」の数が平成27年度から令和元年度にかけて約2倍に増加している要因のひとつに、ボランティアの方々による「引き出し」が少なからず影響していると考えられる。
「殺処分」される猫をできる限り引き取って、里親を探す。この地道な行動が、「ソト猫」の命や生活を救っていると言っても過言ではない。
以上、沖縄県全体の実情では、「収容猫頭数」及び「収容猫の措置頭数」の「殺処分数」は共に減少傾向にあることが読み取れた。では久米島町の実態はどうなのか。次回は、久米島町の実態と今後の課題について考察していく。【続く】
(※)沖縄県動物愛護管理センターによれば、『令和2年度 事業概要』の準備が進行中。2022年3月中には公開予定。詳しくは次を参照。沖縄県動物愛護管理センターhttps://www.aniwel-pref.okinawa/others/view/1
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