ネコと倫理学

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【第5巻】自分で考え、選択し、責任を持つ生き方へ-4人の哲学者が教える現代の処方箋【Kindle出版】

 

 

 朝起きてスマホを開き、InstagramTikTokをチェック。昨日投稿した写真の「いいね!」の数を確認して、思ったより少なくてがっかり。そんな経験、ありませんか。

 

 現代を生きる私たちは、常に他人の評価を気にして生きています。進路選択でも「みんなが行くから」という理由で決めたり、友人関係でさえ「フォロワー数」で測られる時代です。

 

 そんな毎日に疲れを感じているなら、少し立ち止まって考えてみませんか。『思考実験から始める高校倫理⑤』は、「功利主義」のベンサム、「社会主義」のマルクス、「超人思想」のニーチェ、「実存主義」のサルトルという4人の哲学者の思想を通して、「本当に大切なものは何か」や「自分らしい生き方とは何か」を考える本です。

 

「哲学なんて難しそう」と思うかもしれませんが、これらの思想は私たちの日常生活に深く関わっています。AIが発達し、情報があふれる現代社会だからこそ、自分で考え、自分なりの価値観を持つことが重要になっているのです。内容は以下の通りです。

 

[内容]

■4つの思考実験で現代社会を読み解く

■リアルな現代社会の問題を哲学で読み解く

■「本当の自分」とは何かを問い直す

■選択の重さと責任を引き受ける勇気

■AI時代だからこそ必要な「考える技術」

 

■4つの思考実験で現代社会を読み解く

 この本の特徴は、単なる知識の詰め込みではなく、思考実験を通して読者自身が考えることを重視している点です。4人の哲学者の思想を、現代的な問題と結びつけて学んでいきます。

 

功利主義 - ベンサム】特効薬が3つしかないのに患者が10人いたら、誰を救うか。

 実際にコロナ禍で医療現場が直面した現実の問題から、「最大多数の最大幸福」という考え方を学び、命の重さや社会における公正さについて考えます。

 

マルクス】何でも売買できる社会って本当に自由?

 ユリさんが「パパ活」を考える場面を通して、現代社会では人間関係までもが「商品」になってしまっている現実を見つめ直します。スマホの価格は10万円だけど、それを作った人の賃金はいくらでしょうか。経済システムの本質に迫ります。

 

ニーチェ】「いいね!」に縛られない生き方とは何か

 「能力は上がるけど思いやりがなくなる」という選択を迫られたとき、あなたはどうしますか。他人の評価に振り回されない生き方を通して、本当の成長とは何か、「自分らしさ」とは何かを考えていきます。

 

サルトル】「選ばないという選択」も責任が伴う?

 進路に悩む山田さんの事例を通して、「誰かが決めてくれればいい」という甘えが通用しない現実と向き合います。私たちは常に選択し続けなければならないという、自由の重さについて学んでいきます。

 

■リアルな現代社会の問題を哲学で読み解く

 私がこの本を書く際に特に心がけたのは、抽象的な哲学理論を現代の具体的な問題と結びつけることでした。

 

 例えば、「功利主義」の章では、医療資源の配分という現実的な問題を扱います。新型インフルエンザのパンデミック状況で、特効薬を投与できるのは10人中3人だけ。救急救命医、著名な科学者、健康な子ども、妊娠中の女性、高齢者・・・。誰を選ぶべきでしょうか。

 

 この問いには正解はありません。しかし、ベンサムの「快楽計算」やミルの「質的功利主義」を学ぶことで、私たちは複雑な判断を下すための「ものさし」を手に入れることができます。

 

 マルクスの章では、現代の「商品化社会」について深く考えます。私たちの身の回りを見渡してみてください。モノだけでなく、サービスも、情報も、時には人とのつながりまでもが「商品」として売り買いされています。マッチングアプリでの恋人探し、SNSでの「いいね!」の売買、そして「パパ活」のような新しい形の経済活動まで。

 

 これらは本当に「自由な選択」なのでしょうか?マルクスの「労働価値説」を学ぶことで、現代社会の経済システムがどのような問題を抱えているのかが見えてきます。

 

■「本当の自分」とは何かを問い直す

 ニーチェの「超人思想」は、現代のSNS疲れに悩む人々にとって特に重要な視点を提供します。

 

 「生まれ変わりの呪文」という思考実験では、テストで満点が取れる、部活で活躍できる、自分の意見が言える、好きな大学に合格できるという能力を得る代わりに、友だちへの思いやりを失うという選択を迫られます。

 

 この選択を通して、私たちは「本当の成長とは何か」を考えることになります。単に能力が向上することが成長なのか、それとも人間としての品性や他者への配慮も含めて成長と呼ぶべきなのか。

 

 ニーチェの言う「超人」は、他人の評価に振り回されることなく、自分で価値を創り出せる人のことです。これは現代のSNS社会で「いいね!」の数に一喜一憂する私たちにとって重要なメッセージです。

 

■選択の重さと責任を引き受ける勇気

 サルトルの章では、私たちが「自由の刑に処せられている」という現実と向き合います。これは一見矛盾した表現ですが、深い意味があります。

 

 私たちは常に選択を迫られています。それは進路選択のような大きなものから、今日何を食べるかという小さなものまで様々です。そして「選ばない」という選択も、ひとつの選択です。

 

 進路に悩む山田さんの事例では、「誰かが決めてくれればいい」と思う気持ちの背後にある問題が浮き彫りになります。選択することの不安、失敗への恐れ、責任を負うことの重さ。しかし、サルトルは教えてくれます。それこそが人間らしい生き方なのだ、と。

 

■AI時代だからこそ必要な「考える技術」

 現代社会は正解が見えにくい時代です。価値観が多様化し、AI技術が発達する中で、人間には創造性や判断力、共感力がより求められるようになっています。そうした能力を養うために、哲学的思考は欠かせません。

 

 この本で学ぶ哲学は、決して机上の空論ではありません。進路選択、人間関係、社会問題について考えるとき、哲学者たちの思考法を身につけることで、より深く、より広い視野で物事を考えられるようになります。

 

 友人関係でトラブルが起きたとき、功利主義的に「みんなが幸せになる解決策は何か」を考えることもできれば、サルトル的に「自分の選択とその責任」について考えることもできます。複数の視点を持つことで、より良い判断ができるようになるのです。

 

 『思考実験から始める高校倫理⑤』は、複雑な現代社会を生き抜くための「考える技術」を身につける最適な入門書です。ベンサムマルクスニーチェサルトルという4人の思想家とともに、あなた自身の人生について考えてみませんか。

 

 きっと、「いいね!」の数に一喜一憂していた自分から、一歩成長した自分に出会えるはずです。【終わり】