2024-01-01から1年間の記事一覧
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 前回の記事でも述べたように、「趣味判断」をあるものを「美しい」と判定する判断のことである、とカントは定義した。「趣味判断」は主観的な判断である一方で、「趣味判断」はあらゆる主観に普…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 本稿の目的は、カントの著書である『判断力批判』の中に登場する「趣味判断」(Geschmacksurteil)を道徳哲学の文脈から検討することである。 特に注目すべきは、「趣味判断」が『道徳形而上学の基…
道徳形而上学の基礎づけ 作者:イマヌエル・カント 人文書院 Amazon 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)の中で、カントは、「義務」(Pflicht)を2種類に分類する。2種類の「義務」とは、すなわち「完全義務」(vollkommene Pflicht)と「不完…
道徳形而上学の基礎づけ 作者:イマヌエル・カント 人文書院 Amazon 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)の中で、カントは、「義務」(Pflicht)を2種類に分類する。2種類の「義務」とは、すなわち「完全義務」(vollkommene Pflicht)と「不完…
カント全集 15 人間学 岩波書店 Amazon 本稿では、『実用的見地における人間学』(以下『人間学』と略記)に登場する「エゴイズム」(Egoismus)を、他のカントの著作なども参考にしながら考察している。前回の記事では、「エゴイズム」と「定言命法」(kategoris…
カント全集 15 人間学 岩波書店 Amazon 『単なる理性の限界内の宗教』(以下『宗教論』と略記)でカントは「人間は生来悪」(Ⅺ,32)と明示し、『世界市民という視点からみた普遍史の理念』(以下『普遍史』と略記)では「非社交的社交性」(ungesellige Geseligkeit…
永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 光文社 Amazon カントは「悪」と向き合い、「道徳法則」(moralisches Gesetz)とどう関連付けたのか。この問いについて考察するため、『世界市民という視点からみた普遍史の理念』(…
永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 光文社 Amazon 認識論にしろ道徳哲学にしろ『三批判書』の中で、カントは一貫して「理性的存在者」(vernüftiges Wessen)の視点から自らの批判哲学を展開する。 一方で『単なる理性…