入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第25回である。
【前回の記事】
最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。
[内容]
■原文
■単語と文法事項の確認
■私訳
■本書の訳
■私訳と本書の訳の比較
■原文
By contrast, modern political philosophers -from Emmanuel Kant in the eighteeth century to John Rawles in the twenieth century- argue that the principle of justice that define our rights should not rest on any particular conception of virtue, or of the best way to live. Instead, a just society respects each person's freedom to choose his or her own conception of the good life.
■単語と文法事項の確認
・rest on:頼る・当てにする
■私訳
対照的に、現代の政治哲学者-18世紀のイマヌエル・カントから20世紀のジョン・ロールズまで-われわれの正義を定義づける正義の原理は、美徳もしくは最もよい生き方のどの考えにも依存すべきではないと主張する。代わりに適切な社会は彼/彼女自身のよい生き方の考えを選択するためにそれぞれ個人の自由を尊重する。
■本書の訳
対照的に、近現代の政治哲学者はー18世紀のイマヌエル・カントから20世紀のジョン・ロールズにいたるまでーわれわれの権利を定義する正義の諸原理は、美徳つまり最善の生き方に関する特定の考え方に依拠するべきではないと論じる。(彼らによれば)正しい社会とは、むしろ、良き生き方に関する考え方を各人が選び取る自由を尊重するものなのだ。 (p.29)
■私訳と本書の訳の比較
アリストレスとは「対照的に」(by contrast)、カントからロールズにいたるまでの「近現代の政治哲学者」(modern political philosophers)の考えによれば、「正義の諸原理」(the principle of justice)は「美徳」(virtue)に関する「特定の考え方」(any particular conception)に「依拠」(rest on)してはならない。
「正しい社会」(a just society)は、「良き生き方に関する考え方」(his or her own conception of the good life)を選択する自由を尊重する。【続く】
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【参考文献】