ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【第2回】「趣味判断」について-『判断力批判』に即して-|「趣味判断」について【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「趣味判断」について 「趣味判断」とは、あるものを「美しい」と判定する判断のことである。この判断力は、特に美しいものの判定の能力として「美感的判断」(ästhetisches Urteil)とも呼ばれ…

【第1回】「趣味判断」について-『判断力批判』に即して-|はじめに【カント道徳哲学】

判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 今回の目的は、カントの著書である『判断力批判』の中に登場する「趣味判断」(Geschmacksurteil)を検討することである。というのも、「趣味判断」には、カント道徳哲学に関して「不完…

【第5回】カントの「完全義務」と「不完全義務」について|他人に対する不完全義務ー親切の例ー【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 4.他人に対する不完全義務ー親切の例ー 最後に、「他人に対する不完全義務」に反する「格率」について検討する。 「われわれが安楽に生活している時、他人が困窮しているならば、その困…

【第4回】カントの「完全義務」と「不完全義務」について|自分自身に対する不完全義務ー自己実現の例ー【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 4.自分自身に対する不完全義務ー自己実現の例ー 第3に、「自分自身に対する不完全義務」に反する「格率」について検討する。 カントは、「安…

【第3回】カントの「完全義務」と「不完全義務」について|他人に対する完全義務ー虚言の例ー【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 3.他人に対する完全義務ー虚言の例ー 第2に、「他人に対する完全義務」に反する「格率」について検討する。 金に困窮した人が金を返すことが…

【第2回】カントの「完全義務」と「不完全義務」について|自分自身に対する完全義務ー自殺の例ー【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 2.自分自身に対する完全義務ー自殺の例ー 第1に、「自分自身に対する完全義務」に反する「格率」について検討する。 カントは、「われわれの…

【第1回】カントの「完全義務」と「不完全義務」について|はじめに【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)の中で、カントは、「義務」を2種類に分類する。それら2種類の「義務」とは、すなわち「完全義務」と「不完全義務…

【第4回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|終わりに【カント道徳哲学】

実践理性批判――倫理の形而上学の基礎づけ 作者:イマニュエル・カント 作品社 Amazon 実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 終わりに 今回は、『実践理性批判』での「意志」に着目し道徳法則について考えた。 義務は、少なく…

【第3回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|「意志」について【カント道徳哲学】

実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「意志」について 「定言命法」の根本法式で、カントはわれわれの格率が普遍的法則となる条件として、その格率が普遍的法則として「考えることができ」そして、「意欲することができ…

【第2回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|「定言命法」根本法式の二十規制的構造【カント道徳哲学】

実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.「定言命法」根本法式の二十規制的構造 「定言命法」の根本法式について考察する場合、この「命法」には、二十規制的構造が存在するという解釈がある。 二十規制的構造とは、簡単に言…

【第1回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|はじめに【カント道徳哲学】

実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon はじめに 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)と、『実践理性批判』でのカントの道徳法則の表現は異なる。 『基礎づけ』の場合、カントは道徳法則を「汝の格率が普遍…

【第5回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|終わりに【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 5.終わりに 以上、われわれは「義務」と道徳法則との関わりについて、検討してきた。その結果、『基礎づけ』でカントは「義務」から「定言命法」の根本方式という道徳法則を導出し、…

【第4回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|『実践理性批判』での「義務」と道徳法則【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 4.『実践理性批判』での「義務」と道徳法則 『基礎づけ』で「義務」は道徳法則を導出するものとして設定されている、ということを確認できた。 『実践理性批判』では、カントはどの…

【第3回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|『基礎づけ』での「義務」と道徳法則【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.『基礎づけ』での「義務」と道徳法則 『基礎づけ』で「義務」は、どのように説明されているのか。結論から先に述べると、「義務」は道徳法則を導出するものとして設定されている。…

【第2回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|「義務」についての概要【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「義務」についての概要 『基礎づけ』でも『実践理性批判』でも、カントは、「義務」を、人間の意志を規定する強制力として規定する。カントによれば、「義務」という概念は、単に…

【第1回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|はじめに【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 本稿の目的は、『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)と『実践理性批判』それぞれの中で、語られるカントの「義務」について検討することである。今回は…