2.「意志」について
「定言命法」の根本法式で、カントはわれわれの格率が普遍的法則となる条件として、その格率が普遍的法則として「考えることができ」そして、「意欲することができる」ということを挙げている。
他方、純粋実践理性の根本法則で、カントはわれわれの「意志」の格率が普遍的法則として妥当することを要求する。「意志」の格率が普遍的法則となるということは、悟性と欲求能力の統一態である「意志」の格率が、理性的側面でも感性的側面でも普遍的法則として妥当しなければならないことを意味する。
このように考えるならば、「定言命法」の根本法式と純粋実践理性の根本法則は、同一のものとみなすことができる。つまり、カントは両方の道徳法則で、われわれの格率が常に普遍的法則として「考えることができ」そして、同時に「意欲することができる」ことを要求している。
「定言命法」の根本法式と、純粋実践理性の根本法則は表現が異なるのは明らかである。しかし、以上の検討結果から「定言命法」の根本法式と純粋実践理性の根本法則は同一のものであるということが考えられる。【続く】