ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

命法

【カント道徳哲学】道徳形而上学の基礎づけ|「義務」は善い行為への強制力

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon カントの「義務」という概念は、カント道徳哲学での主要概念のひとつである。この概念は、自らの主観的原理を意味する「格率」や「汝の格率が普遍的法則となることを、その格率を通じ…

【カント道徳哲学】カント「不完全義務」の誤解の原因|2つの事例

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon カントの「不完全義務」という考え方は、応用倫理学の中で取り上げられる。中でもボランティアや介護などについて倫理学的に議論する場合、「不完全義務」という考え方は引き合いに出…

【第4回】カント道徳哲学での道徳的主体と他者との関係性について|終わりに【カント道徳哲学】

カント全集〈11〉人倫の形而上学 作者:カント 岩波書店 Amazon 4.終わりに 今回は、カントの道徳哲学の書である『基礎づけ』や『人倫の形而上学』と、『判断力批判』で語られる他者について検討した。 その結果、『基礎づけ』や『人倫の形而上学』では、道徳…

【第2回】カント道徳哲学での道徳的主体と他者との関係性について|虚言について【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.虚言について 『基礎づけ』の中でカントは「義務」(Pflicht)を4種類に分類する。それは「自分自身に対する完全義務」、「他者に対する完全義務」、「自分自身に対する不完全義務」…

【第3回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|「意志」について【カント道徳哲学】

実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「意志」について 「定言命法」の根本法式で、カントはわれわれの格率が普遍的法則となる条件として、その格率が普遍的法則として「考えることができ」そして、「意欲することができ…

【第2回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|「定言命法」根本法式の二十規制的構造【カント道徳哲学】

実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.「定言命法」根本法式の二十規制的構造 「定言命法」の根本法式について考察する場合、この「命法」には、二十規制的構造が存在するという解釈がある。 二十規制的構造とは、簡単に言…

【第1回】道徳法則について-二十規制的構造と「意志」の観点からー|はじめに【カント道徳哲学】

実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon はじめに 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)と、『実践理性批判』でのカントの道徳法則の表現は異なる。 『基礎づけ』の場合、カントは道徳法則を「汝の格率が普遍…

【第5回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|終わりに【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 5.終わりに 以上、われわれは「義務」と道徳法則との関わりについて、検討してきた。その結果、『基礎づけ』でカントは「義務」から「定言命法」の根本方式という道徳法則を導出し、…

【第3回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|『基礎づけ』での「義務」と道徳法則【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.『基礎づけ』での「義務」と道徳法則 『基礎づけ』で「義務」は、どのように説明されているのか。結論から先に述べると、「義務」は道徳法則を導出するものとして設定されている。…

【第2回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|「義務」についての概要【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「義務」についての概要 『基礎づけ』でも『実践理性批判』でも、カントは、「義務」を、人間の意志を規定する強制力として規定する。カントによれば、「義務」という概念は、単に…

【第1回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|はじめに【カント道徳哲学】

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 本稿の目的は、『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)と『実践理性批判』それぞれの中で、語られるカントの「義務」について検討することである。今回は…