終わりに
今回は、『実践理性批判』での「意志」に着目し道徳法則について考えた。
義務は、少なくとも道徳法則と「意志」との関連性から考察しなければ、「義務」についての確かな理解が得られない。ただ単に「義務」についてのみ考察してみても、「義務」についての確かな理解を得ることはできない。
なぜなら、カントは義務を道徳法則と「意志」概念の関連から「義務」を位置づけているからである。義務は、少なくとも道徳法則と「意志」との関連性から考察する必要性がある。【終わり】
<参考文献>
Kant.I,1785:Grundlegung zur Metaphysik der Sitten(邦題:訳注・カント『道徳形而上学の基礎づけ』、宇都宮芳明著、以文社、1989年.).
―――,1788:Kritik der praktischen Vernunft
(邦題:実践理性批判、『カント全集 7』所収、坂部恵・伊古田理訳、岩波書店 、2000年.).
Beck.L.W,1960:A Commentary on Kant’s Critique of Practical Reason(邦題:カント『実践理性批判』の注解、藤田昇吾訳、新地書房、1985年.)
Paton,H.J, 1965: The categorical imperative ‐a study in Kant's moral philosophy(邦題;定言命法 -カント倫理学研究 -、杉田聡訳、行路社, 1986年).
井上義彦,1989:カント「定言命法」のニ重規制的構造(倫理学の基本問題(九州大学哲学会創立25周年記念)、九州大学哲学会編、『哲学論文集』(九州大学哲学会)).
小倉志祥,1972:カントの倫理思想、東京大学出版会.
注 本稿内で引用する著作はすべてアカデミー版カント全集からであり、引用に際してはその巻数とページ数を記載した。