ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【第4回】『基礎づけ』と『実践理性批判』での「義務」の比較検討-道徳法則との関わりから-|『実践理性批判』での「義務」と道徳法則【カント道徳哲学】

 

4.『実践理性批判』での「義務」と道徳法則 

 

 『基礎づけ』で「義務」は道徳法則を導出するものとして設定されている、ということを確認できた。

 

 『実践理性批判』では、カントはどのように「義務」を道徳法則との関わりから、述べているのであろうか。このことを、『実践理性批判』の「分析論」を中心に検討する。

 

 カントは「分析論」の中で、道徳法則を「君の意志の格率〔行動方針〕が、つねに同時に普遍的立法の原理として通用することができるように行為しなさい」(Ⅴ,30;165)と定式化する。この道徳法則から、「義務」を導出する。

 

 道徳法則は、理性と意志を持つわれわれのような有限的存在者、そして最上の知性を持つ無限的存在者の両方に適用されるとカントは言う。

 

 しかし、われわれのような有限的存在者の場合、道徳法則は定言的に命じる「命法」の形式を採らなければならない。なぜなら、われわれのような有限的存在者は、理性的であると同時に感性的動因にも触発されるからである。それで、道徳法則と意志との関係から、行為の強制力である「義務」が導出される。

 

 カントは、道徳法則から「命法」を見出し、そして意志の強制力である「義務」を導出する。 以上のように、カントは『実践理性批判』で、道徳法則から「義務」を導出する。【続く】