ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#23】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第23回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

This dilemma points to one of the great questions of political philosophy: Does a just society seek to promote the virtue of its citizens? Or should law be neutral toward competing conceptions of virtue, so that citizens can be free to choose for themselves the best way to live?

 

■私訳

このジレンマは政治哲学の大きな問いのひとつを指し示す。すなわち、公平な社会は市民の徳を促進しようとするのか。あるいは法は競合する徳の概念に中立的であるべきなのか。それで、市民は自分たちで最善の生き方を自由に選択できるようにすべきなのか。 

 

■本書の訳

このジレンマに政治哲学の重要問題の1つが現れている。正しい社会とは市民の美徳を養おうとするものだろうか。それとも、法は、美徳に関する競合する考え方については中立を守り、何が最善の生き方なのかは市民が自分で選択できるようにするべきなのだろうか。 (p.27)

 

■私訳と本書の訳の比較

 この段落で、サンデルは2つの問題を提起する。

 

①正しい社会は市民の美徳を養おうとするものなのか

②美徳に関する考え方について、社会は中立を守るべきなのか

 

 本書の解説によれば、アリストテレスらの古代哲学者は①の立場を採る。一方、カントやロールズらの近現代の哲学者らは②の立場を採る。

 

 しかしサンデルの考えでは、どちらの立場に立てるほど問題は単純ではない。引き続き次の段落を読み進める。【続く】

 

 

【次の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 

【参考文献】