ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#24】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第24回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■単語と文法事項の確認

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

According to the textbook account, this question divides ancient and modern political thought. In one important respect, the textbook is right. Aristotle teaches that justice means giving people what they deserve. And in order to determine who deserves what, we have to determine what virtues are worthy of honor and reward. Aristotle maintains that we can't figure out what a just constitution is without first reflecting on the most desirable way of life. For him,law can't be neutral on the questions of the good life.

 

■単語と文法事項の確認

・account:話、報告書 

・deserve:○○する価値がある 

・determine:決定する 

・worthy of A:Aにふさわしい 

・honor:名誉 

・figure out:理解する 

・constitution:構成・組織 

・reflect:熟考する 

・desirable:望ましい 

 

■私訳

教科書的説明によると、この問いは古代と現代の政治思想に区別される。ひとつの重要な点として、教科書は正しい。アリストテレスは、正義とは価値あるものを人々に与えることを意味する、と教えている。誰に何が価値があるかを決定するために、何の徳が名誉で報酬があるかをわれわれは決定しなければならない。アリストテレスは、適切な制度とは何かということは最も望ましい生き方についてまず始めに熟考することなしには理解できないと主張する。彼にとって、よい生き方の問題に関して法は中立ではあり得ない。 

 

■本書の訳

教科書的な説明では、この問い[にどう答えるか]によって古代と近現代の政治思想が分かれることになる。1つの重要な点で、教科書は正しい。アリストテレスは、正義とは人々にふさわしいものを与えることだと教えている。さて、誰に何がふさわしいかを決めるには、どんな美徳が栄誉や報奨に値するかを決めなければならない。アリストテレスは、どういう政治制度が正しいのかを理解するためには、まず、最も望ましい生き方とは何かを考えてみなければならないと主張する。アリストテレスにとって、法律は、良い人生とは何かという問題に対して中立ではありえないのだ。(p.28)

 

■私訳と本書の訳の比較

 冒頭に登場する「この問い」とは、美徳への態度の取り方の問題である。まずアリストテレスの考えを、サンデルは検討する。

 

 アリストテレスによれば、政治制度の正しさを理解する前に「最も望ましい生き方」(the most desirable way of life)について考えなければならない。「良い人生とは何か」(the questions of the good life)という問題に、法律は中立ではあり得ない。【続く】

 

 

【参考文献】