ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#7】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第7回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■単語と文法事項の確認

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

 Higher prices for rice, bottled water, roof repairs, generators, and motel rooms have the advantage, Sowell argued, of limiting the use of such things by consumers and increasing incentives for suppliers in far-off places to provide the goods and services most needed in the hurricane's aftermath. If ice fitches ten dollers a bag when Floridians are facing power outages in the August heat, ice manufacturers will find it worth their while to produce and ship more of it.There is nothing unjust about these prices, Sowell explained; they simply reflect the value that buyers and sellers choose to place on the things they exchange.

 

■単語と文法事項の確認

・generator:発電機 

・advantage:好都合 

・incentive:動機づけ 

・suppliers:業者 

・outage:停電 

・manufacturer:製造業 

・A's  while to:○○にとって~するのはやる意味がある。 

・it's worth~ing:~する意義がある。 

・ship:出荷する 

・unjust:不正な 

 

■私訳

 ソーウェルは次のように論じた。米、ボトルの水、屋根の修理、発電機そしてモーテル代の高い価格が、消費者によってそのようなものの使用の制限やハリケーン直後に最も必要とされる商品やサービスを供給する遠隔地の業者の動機づけに好都合となる。フロリダの住民が8月の暑さの中で停電に直面しているとき、もしも氷が一袋10ドルで売れるならば、氷の製造業はより生産し出荷する意味があることを見出すだろう。これら価格に関して何も不正なものはない。ソーウェルは次のように説明する。それらは売り手と買い手が交換するものを選択する価値を単に反映しているに過ぎない。 

 

■本書の訳

 ソーウェルはこう論じた。米、ボトル飲料水、屋根の修理代、発電機、モーテルの部屋などが通常よりも高いおかげで、こうしたものの消費が抑えられるし、遠隔地の業者にとってはハリケーン襲来直後に最も必要とされている商品やサービスを提供する動機づけが強まることになる。8月の暑さの中で停電に見舞われたフロリダ住民に氷が一袋十ドルで売れるなら、製氷業者は増産してどんどん出荷するのは得策だと見るだろう。そういう価格になんら不正なところはない。それは売買される品物の価値に関する売り手と買い手の選択を反映しているにすぎない。(p.10) 

 

■私訳と本書の訳の比較

 表現に若干違いがあるが、私訳も本書の訳も方向性は同じだろう。

 

 本文から、「見えざる手」の観点から、2004年にハリケーン「チャーリー」がフロリダ州を襲ったときに起こった氷やチェーンソーなどの「値上げ」を、ソーウェルは擁護していることが分かる。

 

 私訳の際に、「東日本大震災」でもハリケーン「チャーリー」の出来事と同様のことが起こった記事を見つけた。参考まで、当時の記事を掲載する。【続く】

 

【次の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

【参考記事】

president.jp

 

【参考文献】