はじめに
入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第4回である。
【前回の記事】
引き続き、最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。
[内容]
■原文
■単語と文法事項の確認
■私訳
■本書の訳
■私訳と本書の訳の比較
■原文
Florida has a law against price gouging, and in the aftermath of the hurricane, the attorney general's office received more than two thousand complaints. Some led to successful lawsuits. A Days Inn in West Palm Beach had to say $70,000 in penalties and restitution for overcharging customers.
■単語と文法事項の確認
・in the aftermath A:Aの直後に
・complaint:不満・訴え
・lawsuits:訴訟
・restitution:補償・賠償金
■私訳
フロリダは値上げに対抗する法律があり、ハリケーンの直後に、司法当局は2千件以上の訴えを受け付けた。中には勝訴するに至る事例もあった。ウェスト・パームビーチの「デイズ・イン」のモーテルは高い値を要求し過ぎた客のために7万ドルの罰金と賠償金を命じられなければならなかった。
■本書の訳
フロリダ州には便乗値上げを禁じる法律がある。ハリケーン・チャーリーの直後には司法当局に2千件を超える訴えが寄せられた。なかには裁判で勝訴するに至ったものもあった。ウエストパームビーチのモーテル<デイズ・イン>は法外な宿泊料を客に請求したとして、罰金と賠償金合わせて7万ドルを支払う羽目になった。 (p.7)
■私訳と本書の訳の比較
読者が理解しやすいように、1行目を本書の訳は分割している。”the attorney general's office received more than two thousand complaints”を、受け身的に訳出している。この箇所も、読者に配慮した結果だろう。
また3行目の”had to pay"を「○○を支払う羽目になった」と訳して、「やむを得なく受け入れている」感じを表現している。
比較的短い段落であるが、本書の訳は直訳を越えて読者に配慮した訳出であることが分かった。【続く】
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【参考文献】