ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#14】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第14回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■単語と文法事項の確認

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

Second, defenders of price-gouging laws maintain that,under certain conditions,the free market is not truly free. As Crist points out,"buyers under duress have no freedom. Their purchase of necessities like safe lodging are forced." If you're fleeing a hurricane with your family, the exorbitant price you pay for gas or shelter is not really a voluntary exchange.It's something closer to extortion. So to decide whether price-gouging laws are justified, we need to assess these competing accounts of welfare and of freedom. 

 

■単語と文法事項の確認

・duress:脅迫 

・lodging:宿 

・extortion:強要 

・compete:対立する 

 

■私訳

第2に、法外値上げ法の擁護者は、ある状況下で、自由市場は本当に自由ではない。クリストが指摘するように、「緊迫下での買い手には自由はない。安全な宿泊所のような必需品の購入は強いられたものである。」もし家族と共にハリケーンから逃げているのであれば、ガソリンや避難所に支払う法外な価格は真に自発的な取引ではない。それは強要に近い何かである。それで法外値上げ法が正義に適っているかどうかを決定することは、幸福と自由に関してこれらの対立を評価する必要がある。

 

■本書の訳

第二に、特定の状況下では、自由市場は真に自由なわけではないと禁止法支持者は主張する。クリストが指摘するように「せっぱ詰まった買い手に自由はない。安全な宿泊所を借りるといった必要不可欠な買い物を強いられたものだ。」一家でハリケーンから避難している際に法外なガソリン代や宿泊費を支払うのは自発的な取引ではない。それは強要に近い何かである。このように便乗値上げ禁止法が正義にかなっているかどうかを決めるには、幸福と自由に関する、これらの対立する2つの立場からの説明[にどれほどの説得力があるのか]を評価する必要があるのだ。 (p.18ーpp.19)

 

■私訳と本書の訳の比較

 "defenders of price-gouging laws"を「法外値上げ法の擁護者」と訳したが、適訳がどうか気になった。

 

 確かに自然災害などの「特定の状況下」では、「必要不可欠な買い物」は自由な取引ではなく「強要」となる。

 

 「便乗値上げ禁止法」が正義にかなっているかどうかの判断するため、幸福と自由に関して対立する2つの立場からの説明の評価が必要である。サンデルはこのように評する。【続く】

 

【次の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

【参考文献】