ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#15】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第15回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■単語と文法事項の確認

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

 But we also need to consider one further argument. Much public support for price-gouging laws comes from something more visceral than welfare or freedom. People are outraged at "vultures" who prey on the desperation of others and want them punished-not rewarded with windfall profits. Such sentiments are often dismissed as atavistic emotions that should not interfere with public policy or laws. As Jacobi writes "demonizing vendors won't speed Florida's recovery. 

 

■単語と文法事項の確認

・public:市民 

・visceral:直観的な 

・outraged:憤慨させる 

・vultures:ハゲタカ 

・desperation:自暴自棄 

・punish:罰する 

・rewarded:報い 

・windfall:棚ぼた 

・dismiss:片付ける 

・demonize:悪者扱いする 

・vendor:物売り 

 

■私訳

しかし更に進んだある議論を考える必要がある。多くの市民が法外値上げ法を支持することは幸福や自由をより直観的ものに由来する。人々は他人のイラつきを祈ったり棚ぼたの利益ではない罰を欲したりする。そのような感情は社会政策や法に干渉すべきではないという原始的な感情として片付けられることが多い。ジャコビーが述べるように、「悪者扱いされた売り手によってフロリダの復興が早まるわけではない。」 

 

■本書の訳

だが、さらにもう1つ考慮すべき(禁止法擁護論の)理屈がある。多くの一般市民を便乗値上げ禁止法支持に導くのは、幸福や自由より直観的な何かである。人々は他人の窮状を食い物にする「ハゲタカ」に憤慨し、ハゲタカに棚ぼたの利益ではなく、罰を与えたいと欲する。こうした心情は、社会政策を法律に反映すべきではない現実的な感情として片付けられることが多い。ジャコビーが述べるように、「売り手を悪者扱いにしてもフロリダの不幸が早まるわけじゃない」ということだ。 (p.20)

 

■私訳と本書の訳の比較

「便乗値上げ法」(price-gouging laws)を本段落では、「ハゲタカ」(vulutures)と表現している。「便乗値上げ法」は「他人の窮状を食い物にする」法律である。「便乗値上げ法」への心情は、「原始的な感情」(atavistic emotions)である。そういう感情を抱いたとしても、フロリダの復興が早まるわけではない。【続く】

 

【次の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

【参考文献】