ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#11】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第11回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■単語と文法事項の確認

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

These questions are not only about how individuals should treat one another.they are also about what the law should be, and about how society should be organized. They are questions about justice. To answer them, we have to explore the meaning of justice. In fact, we've already begun to do so. If you look closely at the price-gouging debate, you'll notice that the argument for and against price-gouging laws revolves around three ideas :maximizing welfare, respecting freedom, and promoting virtue. Each of these idea points to different way of thinking about justice. 

 

■単語と文法事項の確認

one another:お互いに 

・closely:密に 

・revolves:(中心に)展開する 

・welfare:幸福 

 

■私訳

これらの問題は、どう個人がお互い単に扱われるかに関することではない。それらは法が何を扱うべきか、そしてどう社会が秩序づけられるかに関することでもある。それらは正義に関する問題である。それらに答えるため、われわれは正義の意味を探求しなければならない。事実、われわれはすでにそうするよう始まっている。もしも綿密に法外値上げの論争に注目するならば、法外値上げ法の賛成や反対の議論は3つの考えを中心に展開していることに気付くだろう。すなわち、幸福の最大化、自由の尊重そして美徳の促進である。これらの考えそれぞれが正義に関して異なる考えを示す。 

 

■本書の訳

これらの問題は、諸個人がお互いをどう扱うべきかに関わるだけではない。法律はいかにあるべきか、社会がどう秩序づけられるべきかに関わっている。つまり、これは「正義」にかかわる問題なのだ。これらの問題に答えるためには、正義の意味を探求しなければならない。実際われわれはすでにその探求を始めている。便乗値上げをめぐる論争をよく見てみれば、便乗値上げ禁止法の擁護論と反対論が3つの理念を中心に展開されていることがわかる。つまり、最大の幸福化、自由の尊重、美徳の促進である。これら3つの理念1つ1つに正義に関する異なった考え方が表れている。 (p.15)

 

■私訳と本書の訳の比較

 この段落から、サンデル自身の議論が展開され始めている。「ハリケーン・チャーリー」による「便乗値上げ法」の問題は、法律や社会のあり方にも関わった問題である。その際ポイントとなるのは、擁護論と反対論が①幸福の最大化②自由の尊重③美徳の促進を中心に展開されていくことである。【続く】

 

【次の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

【参考文献】