ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【私訳#17】Justice:What's the right things to do ?- 『英語で読む哲学』より

 

 

 

はじめに

 入不二基義編『英語で読む哲学』をテキストに、マイケル・サンデル”Justice:What's the right things to do ?”(邦題『これからの「正義」の話をしよう』)を訳出する。今回は第17回である。

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 最初に原文を記し、次に単語の意味や文法解説と私訳を提示する。そして、本書の翻訳を該当箇所から引用する。その後、私訳と本書の訳を比較した私見を述べる。

 

[内容]

■原文

■単語と文法事項の確認

■私訳

■本書の訳

■私訳と本書の訳の比較

 

■原文

Christ touched on the moral source of the outrage when he described the "greed that someone must have in their soul to be willing to take advantage of someone suffering in the wake of a hurricane". He did not explicitly connect this observation to price-gouging laws. But implicit in his comment is something like the following argument, which might be called the virtue argument: 

 

■単語と文法事項の確認

・greed:欲張り 

・take advantage:利用する 

・in the wake of A:Aのすぐ後で 

・explicitly:明らかに 

・observation:意見・見解 

・implicit:含まれた 

 

■私訳

「ある人物がハリケーンのすぐ後で被った人を利用しようとする気持ちを持つ」欲深さを説明するとき、クリストは憤りという道徳の源泉について触れた。彼は法外な値上げ法へのこの見解に明らかに結びつけているわけではない。しかし次のような議論は彼のコメントの中で暗に含まれていて、それは美徳論と呼ばれるものであろう。 

 

■本書の訳

クリストが「ハリケーンの後で困ってる人を利用しても構わないと思える輩の内なる欲深さには呆れ返るばかりだ」と述べたとき、彼はこうした憤りの道徳的源泉を論じていたのだ。クリストは自分の所見を便乗値上げ禁止法にはっきりと結びつけたわけではない。だが、彼のコメントには、美徳論と呼んでいいような議論が暗に含まれている。それは次のようなものである。 (p.22)

 

■私訳と本書の訳の比較

 「憤りの道徳的源泉」(the moral source of the outrage)は、理性的な怒りであることが【私訳#16】から理解できる。それは、「美徳論」( the virtue argument)と考えてもよい。【続く】

 

【次の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

【参考文献】