プレオープンを経て、2021年9月23日に久米島町唯一の保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」(一般社団法人にゃんこ亭)が、遂にオープンした。
オープン当日、早速お店を訪問。カフェの運営にあたる、代表理事K氏と専務理事A氏と対面。彼らから保護猫/地域猫活動について、久米島町の現状と保護猫/地域猫活動の拠点として「球美にゃんこ亭」の方向性を聞くことができた。
【参考:球美にゃんこ亭オープン】
無事に本日開店致しました✨
— 久米島にゃんこ部🐱球美にゃんこ亭 (@Kumeis_cat) 2021年9月23日
仔猫たちは何故かオープン前にテンションが上がり過ぎて、ただ今全員爆睡中です🐱🐱💤💤
今日も久米島は暑いので、是非気軽に涼しみにお寄りくださいね🐱
あっ
✨島民割✨しております🍀#久米島猫 #久米島 #久米島にゃんこ部 pic.twitter.com/vCVX28XTvc
【参考:店内の様子】
今回は2回に渡り保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」を通して、保護猫/地域猫活動に関して沖縄本島とは違う離島特有の現状と課題についてまとめる。
[内容]
・【第1回】久米島町の現状
・【第2回】「球美にゃんこ亭」の方向性
・【第2回】感想
■ 久米島町の現状
約2時間に渡って様々な話をして下さったが、両氏が感じていることは、大きく次の3点である。
①猫の習性や基本的な飼育方法に関する情報を得る機会が少ない。
②去勢・不妊手術ができる動物病院がない。
③住民や行政の理解や協力は徐々に得つつある。
以上の3点について、深掘りする。
①猫の習性や基本的な飼育方法に関する情報を得る機会が少ない。
沖縄本島では、動物病院や動物愛護団体などが猫など「伴侶動物」の習性や基本的な飼育方法を住民に啓発する活動を行っている。
【参考:伴侶種宣言】
是非はさておき、「猫を飼育したい」と思うのであれば、「ペットショップ」に行けばその情報は得られる。
【参考:しっぽの声】
しかし久米島町は、啓発活動自体あまり進んでいない。本来この島には「ペットショップ」が存在しない。それで、猫など身近な動物の習性や基本的な飼育方法などの情報を得る機会が、他の地域と比べて少ない。
その結果、両氏の話のような猫への思い違いが生じることもある。
・3歳以上の猫は年老いているので子どもを産まない。
・猫を中に入れると家が汚れる。
島内では猫を家の外で飼う飼い主が多い、とA氏は言う。「中に入れると家が汚れる」とか「爪とぎで家が傷つく」というのが、その理由である。猫は「完全室内飼育」が原則であることは、一般的である。
【参考:過去記事】
「完全室内飼育」の原則は、猫の「交通事故」に遭うリスクを減らすことが大きな目的である。「外ネコ」の死因の第1位は「交通事故」である。
【参考:過去記事】
県外から移住してきたA氏によれば、那覇市と東京の間で情報の質にそれほど差はない。一方、那覇市と離島の久米島町は情報のタイムラグがある。ここ数年で久米島町では、やっとTNRが認知されてきた。
タイムラグの要因について、A氏は次の2点を挙げていた。
・他の離島と比べて久米島町はより閉鎖的空間である。
・ネットで情報を得る機会が少ない。
宮古島や石垣島と比べて、久米島町は観光や移住などでの人の流入は少ない。それで、島外からの情報が入りにくい。また住民の平均年齢が高いため、テレビか目の前の推測からの判断が大きい。
このように、A氏は久米島町の状況を分析する。
猫の習性や基本的な飼育方法を住民に啓発する活動を行う機会や場所を設けることが先決であると、私は感じた。加えて、地域の中高生など若い世代に保護猫/地域猫活動を広める重要性をお互いで確認した。
【参考:過去記事】
②去勢・不妊手術ができる動物病院がない。
残念ながら、久米島町に動物病院は1軒しかない。それも月に2回程度、沖縄本島から獣医師が日帰りでやって来るだけである。
TNRやTNTAで捕獲した猫の去勢・不妊手術ができる動物病院は、沖縄本島には数ヶ所ある。一方、久米島町には存在しない。厳しい環境の中、どのようにしてこの団体は猫を捕獲した後の手続きを行っているのか。
【参考:ペットマナープロジェクトおのみち【TNR・TNTA活動について】】
その質問に、A氏は次のように回答した。
・去勢・不妊手術ができる獣医師を招へいする。
いずれにしても、他の地域と比べ時間とカネがかかることは間違いない。それでも今年1月から200頭以上、去勢・不妊手術が実施できたようである。
厳しい環境中でも、試行錯誤しながら実行していく。この団体の保護猫/地域猫活動への実直な姿勢を垣間見た気がした。
③住民や行政の理解や協力は徐々に得つつある。
保護猫/地域猫活動で最も重要なのが、住民の理解と行政の協力である。ヨソから来た人間がいきなり保護猫/地域猫活動を開始したとしても、住民の理解は得られない。
住民の理解を得るためには長年、地元で活動されている方々や行政の協力が必要である。その辺りについても尋ねてみた。
【参考:地域猫活動について】
【参考:黒澤泰&飯田基晴の地域猫活動のすすめ】
話によると、厳しい環境の中でも保護猫/地域猫活動を地元で長年、行っているボランティアの方々の力が大きい。保護された猫を預かったりTNRやTNTAに参加するなど、ボランティアの方々はこの団体と協力体制を構築している。
またすべてとは言わないが、ボランティアの方々のお陰で行政も協力する体制があるようだ。実際、TNRやTNTAの時には行政が地域の住民に呼びかけを行ったり、去勢・不妊手術の際には、その場所を提供したりしている。
ボランティアの方々や行政など理解ある多くの人たちのお陰で、少しずつ前進している。ここに私は希望を感じた。
以上、3点が保護猫/地域猫活動に関する久米島町の現状である。では、保護猫カフェ「球美にゃんこ亭」がどのような方向性で活動しているのか、そして何に課題を感じているのか。この点について、次回見ていくことにする。【続く】
球美にゃんこ亭(一般社団法人 にゃんこ亭)
〒901‐3108 沖縄県島尻郡久米島町字比嘉160-42
14:30~18:30(不定休)
instagram: kume_nyanko
Twitter:@Kumeis_cat
Facebook:https://www.facebook.com/pg/kumejimadogandcat/posts/
一般社団法人にゃんこ亭: amazon.jp/hz/wishlist/ls
↓地域猫活動について以下の書籍も参照↓