コロナ禍により、イヌやネコの飼育率は増加している。2020年6月20日付け『産経新聞』によれば、関西のとあるペットショップで、今年3月に入って、ペットフードや動物用のおもちゃなど関連グッズの販売が伸び始めた。
感染の広がった4月以降は、イヌやネコなどの売り上げは急増した。例年、月平均で10から15匹だったが、今年、販売数が2倍近くになった。
『令和元年 全国犬猫飼育実態調査』によれば、ネコの飼育理由の第1位は、「生活に癒やし・安らぎが欲しかったから」である。この飼育理由は、コロナ禍の中で今後、顕著に現われてくるだろう。
【参考:令和元年 全国犬猫飼育実態調査】
一方、何らかの理由で飼育不可能となる「飼育放棄」も問題になっている。
コロナ自粛中、家庭にいる時間に動物との触れ合いを求めて、伴侶動物を求める人は増えている。しかし、初めて飼い主になる人も多く、「伴侶動物との生活」の実態を理解していないケースも多い。
イヌやネコなどの伴侶動物と生活する場合、エサ代や避妊・去勢手術代など意外と経済的負担が大きい。また、狂犬病予防接種や病院への通院など飼育するまで予想しなかったことが、次々と起こる。
単に「カワイイ」だけでは済まされない伴侶動物との共同生活を、われわれは経験することになる。無責任な飼育の結果、ペットショップや動物カフェなどへの置き去り、動物遺棄そして「多頭飼育崩壊」など最悪のケースに繋がることも少なくない。
【参考:沖縄県 一生うちの子プロジェクト】
イヌやネコなどの伴侶動物は、古来から人間と共同生活を行っている。先の調査結果にもあるように、日常生活への「癒やし・安らぎ」を目的にわれわれは「動物との触れ合いを求め」ることも確かである。
しかし、以前記事にも書いたように、動物倫理学の観点から考えても、伴侶動物はもともとわれわれの目的を満たす単なる「手段」ではない。
【参考:過去記事】
この点を踏まえて、伴侶動物の中でも、今回はネコの適正飼育の注意点を3つ挙げる。3つの注意点とは、すなわち①完全室内飼育②去勢・避妊手術③マイクロチップ装着である。
次回から、以下順に検討する。【続く】
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【その他参考資料】