【前回の記事】
本テーマの【第2回】で、伴侶動物として飼育するネコは「完全室内飼育」であるべきであるという記事を書いた。
【参考:過去記事】
しかし、災害、盗難そして何らかの事故などで愛猫と離れる場合もある。もちろん、愛猫は自分の名前も住所も伝えることはできない。
その時、マイクロチップは確実な身元証明になる。飼い主とはぐれて保健所で保護されたが、マイクロチップ装着のお陰で殺処分を免れたケースもある。
■マイクロチップ装着は義務
愛猫の適正飼育のため、環境省は、われわれ飼い主にマイクロチップ装着を義務づけている。
改正『動物愛護管理法』では、自分の所有であることを明らかにするため、ネコなどの動物所有者はマイクロチップ装着を行うべき旨が定められている。
【参考:『動物愛護管理法』(環境省) 令和元年に行われた法改正の内容】
また、ネコを海外から日本に持ち込む場合、マイクロチップなどで確実に個体識別をしておく必要がある。海外に連れて行く時、マイクロチップが埋め込まれていないと持ち込めない国もある。
【参考:環境省パンフレット「マイクロチップはペットとあなたを結ぶ絆です」】
『動物の愛護及び管理に関する法律施行規則』(平成18年環境省令第1号)第20条第3項によれば、 マイクロチップの装着など環境大臣が定める措置を講じ、その措置内容を都道府県知事に届け出ることが定められている。
【参考:環境省資料『犬猫のマイクロチップの義務化について』】
https://www.env.go.jp/council/14animal/y143-19/mat05.pdf
このように、愛猫の適正飼育のため、各種法律や環境省など、行政機関はわれわれ飼い主にマイクロチップチップ装着を義務づけている。
■マイクロチップは電子標識器具
そもそも、マイクロチップとは何だろうか。
環境省HP「動物の愛護と適切な管理ー人と動物の共生をめざしてー」で、その特徴が次のように説明されている。
・直径2㎜長さ約8~12㎜の電子標識器具
・内部はIC、コンデンサそして電極コイル
・外側は生体適合ガラス
・世界で唯一の15桁の番号が記録
マイクロチップに記録されている番号を、専用リーダーを使って読み取ることができる。動物の安全で確実な個体識別の方法として、この機器はヨーロッパやアメリカなど世界中で広く使用されている。
【参考:環境省HP「動物の愛護と適切な管理ー人と動物の共生をめざしてー」】
マイクロチップ埋込みの方法のポイントは、次の4点である。
・通常より少し太い専用注入器を使用
・普通の注射と同じくらいの痛み
・イヌネコの場合埋込場所は首の後ろ皮下
・ネコは生後4週齢頃から埋込可能
動物病院によって異なるが、イヌやネコの場合、費用は数千円程度である。マイクロチップ埋込みは、獣医療行為である。必ず、獣医師が行わなければならない。
【参考:STVニュース北海道【責任】犬・猫のマイクロチップ装着が義務化 飼い主に「命を預かる責任」を 迷子探しにも有効】
このように、マイクロチップは電子標識器具であり、その装着は獣医師が行う医療行為である。
■日本でも利用者が増加
2019年改正『動物愛護管理法』を受けて、「SBIいきいき少額短期保険株式会社」は、マイクロチップについて、イヌやネコを飼育している200名にアンケート調査を実施した。(2019年8月実施)
その結果、イヌやネコ飼育する者でマイクロチップの認知率は、90.5%で装着率26.5%だった。
マイクロチップ装着義務化への賛成は69.5%で、賛成の理由で最も多いのは「迷子になったときの身元確認が容易」という回答で、93.5%だった。
「飼ったときにマイクロチップが装着されていた」が、43.8%で「今後マイクロチップの装着意思を明確に持っている」飼育者は、9.8%だった。
【参考:SBIいきいき小短 NEWS LETTER Vol.16(2019.8)】
https://www.i-sedai.com/pdf/NewsLetter190830.pdf
上記の資料によれば、マイクロチップの装着は迷子や盗難にあった動物の保護時に身元確認で役立つだけでなく、動物の野良化防止にも役立つ。
今後は、信頼できるサーバー上で、データが一元管理されることが期待される。
伴侶動物の身元だけでなく、過去の病歴や治療歴などの情報があれば、獣医師にとって診断や治療を進めやすい。
一方、飼い主にとっては日頃の健康管理に役立つ。
このように、マイクロチップ装着は愛猫の身元確認だけでなく、愛猫の体調管理など様々な分野に可能性が見出される。
■まとめ
以上、伴侶動物としてのネコを飼育する注意点を一連の記事の中で3つ挙げた。
【参考:過去記事】
コロナ禍により、ネコなどの伴侶動物の飼育率は増加している。伴侶動物はわれわれの目的を満たす単なる「手段」ではない。
【参考:過去記事】
伴侶動物の適正飼育を目指し、彼/彼女たちとできるだけ長く心地よい共同生活が送れるように、われわれ飼い主は心がけなければならない。【終わり】
【その他参考資料】