[内容]
第1版序文(1793年)
・段落7 要約と注釈
・段落8 要約と注釈
・段落9 要約と注釈
文献
[段落7]
要約
最高検閲官は、哲学部ではなく神学部に属す。双方の教説すべてが相互に接近していて哲学的神学の側から越境の懸念があっても、干渉についての疑惑など容易に予防できる。(Ⅵ,9-10)
注釈
「哲学的神学」が「聖書神学」の範囲に干渉した場合、聖職者である最高検閲官は神学部に属す。確かに、「哲学的神学」と「聖書神学」の教説はお互い接近する部分もある。しかし、理性の限界内で留まる「哲学的神学」は「聖書神学」へ干渉できない。それは、理性の限界を超える。そのような越境の懸念があっても、その疑惑は簡単に予防できる。
[段落8]
要約
善なる素質も悪なる素質も備えた部分もある人間本性と宗教との関係を目立たせるため、善の原理と悪の原理との関係を、両者それぞれ別個に存在する2つの作用原因であって人間に影響を及ぼすかのように、以下の論文で紹介している。(Ⅵ,11)
注釈
カントは「善なる素質も悪なる素質も備えた部分もある」という人間観を持つ。この人間観と宗教を際立たせるため、善悪の原理の関係をそれぞれ別個に関係する作用原因への人間の影響を以下で述べる。
[段落9]
要約
1枚目の全紙は、私の正書法とは違う。それは、写本に多くの人の手を煩わせたからである。また校正に残された時間が、短かったからである。(Ⅵ,11)
注釈
省略。
文献
Kant.I,1793(1794):Die Religion innerhalb der Grenzen der bloßen Vernunft(邦題:たんなる理性の限界内の宗教、『カント全集10』所収、北岡武司訳、岩波書店、2000年.).【続く】
※今回、要約した著作はアカデミー版カント全集からであり、要約に際してその巻数とページ数を記載した。