ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

【第4回】人間以外の動物への倫理的配慮の基準は「苦痛」だけでは不十分である|まとめ【動物倫理学】

 

【前回の記事】

chine-mori.hatenablog.jp

 

 4.まとめ

 以上、今回はピーター・シンガーとベンサムの「功利主義」を中心に、人間以外の動物への倫理的配慮の基準となる「苦痛」についての主張を整理した。

 

 その後、久保田さゆりの主張を参考にしながら、「苦痛」だけではない「動物の豊かな内面」という、新たな基準を提示した。この点に関して、伴侶動物に注目しながら議論を進めた。

 

  確かに、道徳的配慮の基準を「苦痛」だけに絞り動物を一般化することは、単純明快で理解しやすい。ただし亀山純生も指摘するように、この基準を「動物の権利」として一般的に理論化することは、われわれを倫理的に根本的な矛盾に陥らせる。

 

「苦痛」という人間以外の動物への倫理的配慮の基準だけでなく、それ以外の基準も設けながら、彼/彼女らへの倫理的配慮について見直す必要がある。【終わり】

 

【参考文献】

亀山純生,1995:「動物の権利」論と動物倫理への基本視点、『日本獣医師会雑誌 第48巻12号』所収、日本獸医師会、1995年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/48/12/48_12_929/_pdf/-char/ja