ネコと倫理学

カント道徳哲学/動物倫理学/教育倫理学/ボランティアの倫理学/ネコと人間の倫理的関わりについて記事を書いています。

教育倫理学

【第4回】カント教育哲学から見る現代の教育改革 - 道徳教育と『学習指導要領』の考察|終わりにーカント道徳哲学と新学習指導要領の親和性ー【教育倫理学】

人間学・教育学 (西洋の教育思想 5) 作者:イマヌエル カント 玉川大学出版部 Amazon 本稿では、平成30年度告示『高等学校学習指導要領』が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の理念を、カントの道徳教育論の視座から批判的に検討してきた。両者の哲学的親和…

【第3回】カント教育哲学から見る現代の教育改革 - 道徳教育と『学習指導要領』の考察| 『啓蒙とは何か』での「理性の公的使用」の革新性【教育倫理学】 

永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 光文社 Amazon 前回の記事で、カントの道徳教育論は、純粋実践理性の働きに基づいた自律的な道徳性の育成という理念を示しつつ、その具体的な実践方法も提示していることを明らかに…

【第2回】カント教育哲学から見る現代の教育改革 - 道徳教育と『学習指導要領』の考察|道徳的判断力の開発 ―『実践理性批判』から現代の教育実践へ―【教育倫理学】

カントの教育論を包括的に分析した本連載は、『教育学』から『啓蒙とは何か』までの著作を横断的に検討し、その現代的意義を探究するものです。全4回の構成を通じて、人間の教育可能性、道徳的判断力の育成、理性の公的使用の意義、そして教育理論の実践応用…

【第1回】カント教育哲学から見る現代の教育改革 - 道徳教育と『学習指導要領』の考察|教育されるべき存在としての人間 ―カント『教育学』から現代の学習指導要領への展開―【教育倫理学】

本記事は、カントの教育哲学と現代の教育改革、特に高等学校の新学習指導要領との関連性を論じた学術論文の序論部分である。主なポイントは以下の通り。: 研究の背景と目的 デジタル革命やSociety5.0の到来による教育の転換期において、カントの思想から現…

【第2回】子どもへの教育実践は「不完全義務」か-『理性の構成』を手がかりに【教育倫理学】

理性の構成: カント実践哲学の探究 (叢書・ウニベルシタス) 作者:オニール,オノラ 法政大学出版局 Amazon 前回の記事で『理性の構成』を基に、教師に代表される教育実践を司る立場は「特定」の他者である眼前の子どもに、ある行為を果たすことあるいは控える…

【第1回】子どもへの教育実践は「不完全義務」か-『理性の構成』を手がかりに【教育倫理学】

理性の構成: カント実践哲学の探究 (叢書・ウニベルシタス) 作者:オニール,オノラ 法政大学出版局 Amazon 前回の記事で、カント「不完全義務」は「活動の余地」を持つ「義務」であるという結論を示した。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 教育…

【教育倫理学】学校におけるケアの挑戦|「ケアリング」と「継続性」

学校におけるケアの挑戦―もう一つの教育を求めて 作者:ネル・ノディングズ メディア: 単行本 もし教育が人生における幸福を目的とするのであれば、学校教育はその目的を実現するために「ケアリング」を中心に再構成される必要があるだろう。 既存の学校教育に…

【教育倫理学】カント道徳教育の方法論|道徳的問答教示法

道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 『道徳形而上学の基礎礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)の中で、カントは「汝の意志の格率が普遍的法則となることを、その格率を通じて汝が同時に意欲することができるような、そう…

【本ブログ趣旨】本ブログの内容と想定する読者|カント道徳哲学・動物倫理学・教育倫理学

【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】 ブログで著名な哲学書や倫理学書の紹介を行っていたり、有名な哲学者の思想を紹介する記事をよく見かける。 確かに、哲学初心者や教養として思想を身に付けたい方には、満足できる内容かもしれない…