2020-01-01から1年間の記事一覧
The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性(p.174-pp.175) Unlike Rawls, whose views on our duties regarding animals are unclear at best, Kant provides us wit…
5.終わりに 以上、平成30年度告示『高等学校学習指導要領』とカント道徳教育から、「主体的・対話的で深い学び」について検討してきた。 インターネットによって、新時代の到来が社会や生活を大きく変えていく。その中で、教育活動全体を通じて「人間として…
6.『啓蒙とは何か』での理性の公的な利用(その2) 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 【前回の続き】 このカントの主張から平成30年度告示『高等学校学習指導要領』に記載されている「主体的・対話的で深い学びの実現」(文部科学省,2018,19)が、…
5.『啓蒙とは何か』での理性の公的な利用(その1) 『啓蒙とは何か』冒頭で、カントは「啓蒙」について次のように述べる。 【参考:啓蒙とは何か】 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 発売日: 2006/09/07 メディア: 文庫…
4. 『実践理性批判』での道徳的教育方法(その2) 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 【続き】 ただし、カントの道徳的教育方法は、ソクラテスの「問答法」を意識しているように思われる。『人倫の形而上学』によれば、教師は生徒の思想の産婆であ…
3. 『実践理性批判』での道徳的教育方法(その1) 【参考:実践理性批判】 実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 発売日: 2004/04/09 メディア: 単行本 『実践理性批判』第2部「純粋実践理性批判の方法論」で、未発達な子どもの心を道徳的善に…
2. 『教育学』での基本的考え方 【参考: 教育学】 人間学・教育学 (西洋の教育思想 5) 作者:イマヌエル カント メディア: 単行本 始めに、カントの教育論の基本的考え方について簡単に確認する。カントは『教育学』冒頭で次のように述べる。 人間は教育され…
1.はじめに 平成30年度告示『高等学校学習指導要領解説 総則編』にもあるように、わが国は挑戦の時代を迎えている。 【参考: 『高等学校学習指導要領解説 総則編』(平成30年度告示)】 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総則編 ―平成30年7月 (高等学校…
ネコの路上死について、前回は以下のような記事を書いた。 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 今回は、後半部分である。 [内容] 【第1回】沖縄県の現状 【第2回】路上死を防ぐ2つの方法 ■路上死を防ぐ2つの方法 ネコの路上死を防ぐために、次の…
先日、通勤中に、ネコの路上死を目撃した。目撃する度に思うのであるが、もしかしたら、落とすべきでない命を救えたはずだ、と心を痛め、自らの無力さを感じる。 仕事から家に帰る途中、走ってくる車を避けながら道を横切るネコを見ると、「死ぬな」と心の中…
世界の名著 74 ハイデガー (中公バックス) 作者:ハイデガー メディア: 単行本 ハイデガーは「das Man」という概念によって、近代的な「自我」としての「私」を否定したとされる。 川原栄峰によれば、ハイデガーの「das Man」という概念は、20世紀の人々に大…
【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 4.まとめ 以上、今回はピーター・シンガーとベンサムの「功利主義」を中心に、人間以外の動物への倫理的配慮の基準となる「苦痛」についての主張を整理した。 その後、久保田さゆりの主張を参考にしながら、「苦痛」…
【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 3.動物の「豊かな内面」への理解ー久保田さゆりの議論 久保田さゆりもピーター・シンガーの考え方にも、基本的には賛成である。その理由として、久保田は次の2点を挙げている。 第1に、痛みはその倫理的な重要性の否…
【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 2.「苦痛」という感覚が唯一の判断基準ーピーター・シンガーの議論 シンガーは、その著書『動物の解放』で次のように述べる。 もしある当事者が苦しむならば、その苦しみを考慮に入れることを拒否することは、道徳的に正…
動物の解放 改訂版 作者:ピーター シンガー 人文書院 Amazon 1.人間以外の動物への倫理的配慮基準の新たな視点 沖縄県では、「一生うちの子プロジェクト」という取り組みを実施している。この取り組みの目標は、県内での捨て犬や捨て猫をゼロにすることであ…