カント道徳哲学
The Case for Animal Rights 作者:Regan, Tom University of California Press Amazon 5.5 カントの立場:目的それ自体としての人間性(p.174-pp.175) Unlike Rawls, whose views on our duties regarding animals are unclear at best, Kant provides us wit…
5.終わりに 以上、平成30年度告示『高等学校学習指導要領』とカント道徳教育から、「主体的・対話的で深い学び」について検討してきた。 インターネットによって、新時代の到来が社会や生活を大きく変えていく。その中で、教育活動全体を通じて「人間として…
6.『啓蒙とは何か』での理性の公的な利用(その2) 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 【前回の続き】 このカントの主張から平成30年度告示『高等学校学習指導要領』に記載されている「主体的・対話的で深い学びの実現」(文部科学省,2018,19)が、…
5.『啓蒙とは何か』での理性の公的な利用(その1) 『啓蒙とは何か』冒頭で、カントは「啓蒙」について次のように述べる。 【参考:啓蒙とは何か】 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 発売日: 2006/09/07 メディア: 文庫…
4. 『実践理性批判』での道徳的教育方法(その2) 【参考:過去記事】 chine-mori.hatenablog.jp 【続き】 ただし、カントの道徳的教育方法は、ソクラテスの「問答法」を意識しているように思われる。『人倫の形而上学』によれば、教師は生徒の思想の産婆であ…
3. 『実践理性批判』での道徳的教育方法(その1) 【参考:実践理性批判】 実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 発売日: 2004/04/09 メディア: 単行本 『実践理性批判』第2部「純粋実践理性批判の方法論」で、未発達な子どもの心を道徳的善に…
2. 『教育学』での基本的考え方 【参考: 教育学】 人間学・教育学 (西洋の教育思想 5) 作者:イマヌエル カント メディア: 単行本 始めに、カントの教育論の基本的考え方について簡単に確認する。カントは『教育学』冒頭で次のように述べる。 人間は教育され…
1.はじめに 平成30年度告示『高等学校学習指導要領解説 総則編』にもあるように、わが国は挑戦の時代を迎えている。 【参考: 『高等学校学習指導要領解説 総則編』(平成30年度告示)】 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総則編 ―平成30年7月 (高等学校…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon カントの「不完全義務」という考え方は、応用倫理学の中で取り上げられる。中でもボランティアや介護などについて倫理学的に議論する場合、「不完全義務」という考え方は引き合いに出…
カント全集〈11〉人倫の形而上学 作者:カント 岩波書店 Amazon 4.終わりに 今回は、カントの道徳哲学の書である『基礎づけ』や『人倫の形而上学』と、『判断力批判』で語られる他者について検討した。 その結果、『基礎づけ』や『人倫の形而上学』では、道徳…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.拡張された考え方の格率 『基礎づけ』や『人倫の形而上学』で、カントは他者よりも、道徳的主体である自己を問題にしていた、ということが分かった。 一方、『判断力批判』で、他者との関係性…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.虚言について 『基礎づけ』の中でカントは「義務」(Pflicht)を4種類に分類する。それは「自分自身に対する完全義務」、「他者に対する完全義務」、「自分自身に対する不完全義務」…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに カントは、われわれの理性から普遍的な道徳法則を導き出す。この普遍的な道徳法則が、「定言命法」(Imperative Gesetz)である。カントの全体的な説明の仕方から考えると、一見、カン…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 4.結びにかえて 以上、「趣味判断」について検討してきたが、『判断力批判』に即して「不完全義務」についても考察する必要がある。また、今後は「趣味判断」と道徳との関わりについても検討が…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.「共通感官」について 「趣味判断」には主観的な判断が必要であるため、カントは「共通感覚」という概念を導入した。『判断力批判』の文脈から考えると、「共通感覚」とは普遍的に有効な判断を…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「趣味判断」について 「趣味判断」とは、あるものを「美しい」と判定する判断のことである。この判断力は、特に美しいものの判定の能力として「美感的判断」(ästhetisches Urteil)とも呼ばれ…
判断力批判 上 新装版 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 今回の目的は、カントの著書である『判断力批判』の中に登場する「趣味判断」(Geschmacksurteil)を検討することである。というのも、「趣味判断」には、カント道徳哲学に関して「不完…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 4.他人に対する不完全義務ー親切の例ー 最後に、「他人に対する不完全義務」に反する「格率」について検討する。 「われわれが安楽に生活している時、他人が困窮しているならば、その困…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 4.自分自身に対する不完全義務ー自己実現の例ー 第3に、「自分自身に対する不完全義務」に反する「格率」について検討する。 カントは、「安…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 3.他人に対する完全義務ー虚言の例ー 第2に、「他人に対する完全義務」に反する「格率」について検討する。 金に困窮した人が金を返すことが…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 【前回の記事】 chine-mori.hatenablog.jp 2.自分自身に対する完全義務ー自殺の例ー 第1に、「自分自身に対する完全義務」に反する「格率」について検討する。 カントは、「われわれの…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.はじめに 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)の中で、カントは、「義務」を2種類に分類する。それら2種類の「義務」とは、すなわち「完全義務」と「不完全義務…
実践理性批判――倫理の形而上学の基礎づけ 作者:イマニュエル・カント 作品社 Amazon 実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 終わりに 今回は、『実践理性批判』での「意志」に着目し道徳法則について考えた。 義務は、少なく…
実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「意志」について 「定言命法」の根本法式で、カントはわれわれの格率が普遍的法則となる条件として、その格率が普遍的法則として「考えることができ」そして、「意欲することができ…
実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 1.「定言命法」根本法式の二十規制的構造 「定言命法」の根本法式について考察する場合、この「命法」には、二十規制的構造が存在するという解釈がある。 二十規制的構造とは、簡単に言…
実践理性批判 [カント三批判書] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon はじめに 『道徳形而上学の基礎づけ』(以下『基礎づけ』と略記)と、『実践理性批判』でのカントの道徳法則の表現は異なる。 『基礎づけ』の場合、カントは道徳法則を「汝の格率が普遍…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 5.終わりに 以上、われわれは「義務」と道徳法則との関わりについて、検討してきた。その結果、『基礎づけ』でカントは「義務」から「定言命法」の根本方式という道徳法則を導出し、…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 4.『実践理性批判』での「義務」と道徳法則 『基礎づけ』で「義務」は道徳法則を導出するものとして設定されている、ということを確認できた。 『実践理性批判』では、カントはどの…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 3.『基礎づけ』での「義務」と道徳法則 『基礎づけ』で「義務」は、どのように説明されているのか。結論から先に述べると、「義務」は道徳法則を導出するものとして設定されている。…
道徳形而上学の基礎づけ [新装版] 作者:イマヌエル カント 以文社 Amazon 2.「義務」についての概要 『基礎づけ』でも『実践理性批判』でも、カントは、「義務」を、人間の意志を規定する強制力として規定する。カントによれば、「義務」という概念は、単に…